ABSTRACT 2529(P15-5)
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膵癌細胞に対する p16 発現Adenovirus Vector の増殖抑制効果: 小林 進1、白澤 浩2、川平 洋1、金子健太郎1、貝沼 修1、今関英男1、浅野武秀1、磯野可一11千葉大・医・外, 2微生物)

Suppressive effect of p16 expression adenovirus vector for pancreas cancer cell proliferation: Susumu KOBAYASHI1, Hiroshi SHIRASAWA2, Hiroshi KAWAHIRA1, Kentaroh KANEKO1, Osamu KAINUMA1, Hideo IMASEKI1, Takehide ASANO1, Kaichi ISONO1 (1Dept. Surg., 2Dept. Microbiology, Chiba Univ. Sch. Med.)

【目的】膵癌は消化器癌の中で、最も予後不良であるが、膵癌細胞株では、CDK Inhibitorであるp16が高頻度に両アレル欠失を起こしていると報告されている。今回 p16 発現Adenovirus Vector を作成し、膵癌細胞に対する増殖抑制効果につき検討したので報告する。
【方法】I. PCRにてp16 cDNAを適当な長さとし、コスミッドカセットに挿入し、親Adenovirusと相同組み替えを起こすことにより、p16 発現Adenovirus Vector を作成した。II. 膵癌継代細胞 MIAPaCa- 2において、PCRにより、p16遺伝子の両アレル欠失の確認とともに、p16 発現Adenovirus Vector の 発現の確認(Northern Blot Hybridization)を行った。III. さらにp16 発現Adenovirus Vectorの膵癌細胞に対する増殖抑制効果につき検討した。【成績、結論】MIAPaCa-2はp16遺伝子の両アレル欠失の状態であったが、p16 発現Adenovirus Vectorは1時間の接触感染で高レベルのp16のmRNA発現をもたらし、膵癌細胞の細胞増殖は有意に抑制された。以上の結果より膵癌細胞に対し今回作成したp16 発現Adenovirus Vectorは強力かつ効率よくp16遺伝子を発現し、細胞増殖を抑制し、膵癌に対する一治療手段となりうる可能性が示唆された。