ABSTRACT 2530(P15-5)
 ポスターセッション一覧 トップ 


アデノウィルスベクターを用いたE.coli UPRTとHSV-TKの融合酵素による食道癌の遺伝子治療:清水孝徳1,2,定田明子1,落合武徳2,濱田洋文11 癌研・癌化療セ・分子生物治療,2 千葉大・医・外)

Gene therapy of esophageal cancer through adenovirus-mediated E.coli UPRT and HSV-TK fusion gene transduction: Takanori SHIMIZU1,2, Akiko SADATA1, Takenori OCHIAI2, Hirofumi HAMADA1 (1Dep. Mol. Biother. Res. Cancer Chemother. Ctr., Jap. Fdn. Cancer Res., 2 Dep. Surgery II. Chiba Univ.)

【目的】 E.coli UPRT (5FUの代謝を促進し感受性を上昇させる)/5FU及びHSV-TK/ganciclovirは、癌の遺伝子治療への利用が試みられているが、この二つの酵素を癒合させることで、より大きな効果が期待される。我々は、この融合酵素(UT: 両方の酵素活性を合せ持つ)を組み込んだアデノウィルスベクター(AxCAUT)を作成し、ヒト食道癌細胞を用いて基礎実験を行った。
【方法と結果】in vitroにおいて ヒト食道癌細胞TTn ,TE2にAxCAUTにてUTを導入したところ、5FU及びganciclovirに対する感受性がそれぞれ上昇し、また両薬剤にBystander effectが確認できた。更に、この2剤を同時に併用したところ相加効果が認められた。ヌードマウスにおける皮下腫瘍の治療モデルでは、ベクターの腫瘍内注射と薬剤の腹腔内投与にて著明な腫瘍縮小効果が得られた。
【考察】癌の遺伝子治療は、p53等の様々な遺伝子を用いて試みられているが、単独で十分な効果を示すものは少なく、それらに併用する遺伝子の候補として、二つの活性を併せ持つ酵素であるUTは、抗がん剤、放射線等をも用いた集学的な遺伝子治療において利用価値が高いと思われる。