ABSTRACT 2535(P15-5)
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Fas/Fas ligand および p53 過剰発現による膵癌の遺伝子治療:篠崎文子, 篠浦伸禎, 濱田洋文(癌研・化療セ・分子治療)

Gene therapy by overexpression of Fas/ Fas-ligand and p53 in pancreatic cancer:Ayako SHINOZAKI, Nobusada SHINOURA, Hirofumi HAMADA ( Dept. Mol. Biother. Res., Cancer Chemother. Ctr., Cancer Inst. )

[目的]Fas/Fas-ligand および p53 過剰発現による膵癌の遺伝子治療とその併用効果について検討した。
[方法]膵癌の細胞株(Panc.1, PK-1, SU86.86 etc.)にアデノウイルスベクターを用いてFas/Fas-ligand および p53 を単独または同時に過剰発現させた後、細胞数測定、PI 染色、電顕像などによりその殺細胞効果を 調べた。
[結果と考察]surface Fasを発現していない膵癌細胞株(Panc.1)は、Fas-ligandにより誘導されるアポトーシスに耐性であったが、Fas の導入によりsurface Fasの発現が誘導され、他の細胞株同様Fas単独およびFas/Fas-ligand共発現により、アポトーシスを誘導できることが明らかとなった。このことから、Fasの発現がなく、Fas-ligandにより誘導されるアポトーシスに耐性な膵癌の治療においても、Fas の導入が有効であると考えられた。さらに、p53によりsurface Fasの発現が誘導されたことから、p53とFas-ligandの併用によりp53単独に比べ高率にアポトーシスを誘導できると考えられた。以上の結果は、膵癌の遺伝子治療においてFas/Fas-ligand および p53 過剰発現による高い治療効果を期待させる。