ABSTRACT 2538(P15-6)
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mouse glioma modelに対するretroviral vectorを用いた遺伝子治療の著効因子の検討:田村雅一1,2,3,清水恵司2,田村和義2,吉松忠憲3,4,宮尾泰慶2,池中一裕3 (1箕面市立病・脳外,2阪大・医・脳外,3国立生理研, 4湧永製薬)

Study of effective factors in gene therapy of murine glioma using retroviral vector: Masakazu TAMURA123, Keiji SHIMIZU2, Kazuyoshi TAMURA2, Tadanori YOSHIMATSU34, Yasuyoshi MIYAO2, Kazuhiro IKENAKA3 ( 1Minoo City Hosp., 2Osaka Univ. Med. Sch., 3Natl. Inst. Physiol. Sci., 4Wakunaga Pharm. Co., Ltd.)  

(目的)脳腫瘍特異的遺伝子導入のためにretroviral vectorの開発を行っており、昨年の当学会にて腫瘍塊内での腫瘍細胞の移動性に立脚した治療の可能性を報告した。今回は、さらなる著効因子に関する検討を加えた。(方法) (1) マウス脳内腫瘍モデルにDiIでラベルした高力価のLacZ発現virus producing cell (VPC)を移植し、感染した腫瘍細胞の移動をX-Gal染色で観察した。(2) 皮下腫瘍モデルの治療に関し、HTK 発現ウイルス液注入からganciclovir (GCV) 投与開始までの日数、投与期間等につき検討した。これらの結果を踏まえ、(3) 遠心濃縮したウイルス液による脳内腫瘍の治療実験も行った。(結果)(1) VPC移植後、感染した腫瘍細胞の移動で感染範囲は広がった。腫瘍塊周辺部の腫瘍細胞は、中心部の細胞に比べて易感染性で、移動性に富んでいた。(2) GCVは3日間より5日間投与が有効だったが、投与終了4日後に腫瘍の再増大が起こった。 (3) ウイルス液は1010 cfu/ml以上遠心濃縮でき、複数回投与で脳内腫瘍に有効だった。(考察)VPC移植部位、GCV投与時期等も有効な治療のために重要な因子だが、VPCの移植に関する危険性は現在も解決できていない。VPCの改良と濃縮を積極的に行ない、高力価ウイルス液での治療が可能となった。