ABSTRACT 2540(P15-6)
EBV (Epstein-Barr Virus)エピゾーマルベクターによる肝癌遺伝子治療: 原田義規1,2、岩井眞樹1、田中斉祐1、村松 哲1、森 敬弘1、岡上 武1、加嶋 敬1、田畑 博子2,3、佐藤悦子2、松田 修2、今西二郎2 (1京都府立医大3内、2微生物、3小児)
Suicide gene therapy of hepatocellular carcinoma by Epstein-Barr virus(EBV)-based episomal vectors: Yoshinori HARADA1,2, Masaki IWAI1, Saiyu TANAKA1, Akira MURAMATSU1, Takahiro MORI1, Takeshi OKANOUE1, Kei KASHIMA1, Hiroko MARUYAMA-TABATA2,3, Etsuko SATOH2, Osam MAZDA2, Jiro IMANISHI2 (1Third Dept. of Int. Medicine, 2Dept. of Microbiology, 3Dept. of Pediatrics, Kyoto Prefectural Univ. of Med.)
肝癌の遺伝子治療において、非ウイルスベクターは安全面ではウイルスベクターよりすぐれているが、遺伝子の導入発現効率は低い。この短所を改善するため、我々はEBVのゲノム複製装置をもつplasmidベクターをcationic-liposome法またはpolycation法で肝癌細胞株に導入し、自殺遺伝子発現の増強が可能かを試みた。(方法)4種のplasmidベクターを使用した。1) pSESβ, pSESTk:SRαpromoter下にLacZ geneまたはHSV1-Tk gene、SRαpromoter下にEBNA1 geneおよびEBV oriPを有する。2) pSβ, pSTk: SRαpromoter下にLacZ geneまたはHSV1-Tk geneを発現。HuH7, PLC/PRF/5, HLE cell linesにそれぞれを導入し、ONPG法によるLacZ 活性、またはガンシクロビル(GCV)による殺傷効果を検討した。(結果) pSESβ導入細胞はpSβ導入細胞より数倍〜250倍のLacZ活性の増強を認めた。pSESTk導入細胞ではpSTk導入細胞よりGCVによる殺傷効果が300~1000倍増強した。(結語) EBVエピゾーマルベクターにより、抗腫瘍効果の著明な増強がみられ、本法の肝癌遺伝子治療への有用性が示唆された。