ABSTRACT 2541(P15-6)
EBウイルス関連腫瘍細胞での特異的遺伝子発現と標的自殺遺伝子療法への応用
平位秀世1,2,佐藤悦子2,岡本昭夫1,志村和穂1,高橋良一1,芦原英司1,稲葉亨1,藤田直久1,島崎千尋1,中川雅夫1,松田修2,今西二郎2 (1京都府立医科大学第二内科,2微生物学)
Targeted gene expression and killing observed in EBV-associated neoplasms by using EBV-based episomal vector : Hideyo HIRAI1, Etsuko SATOH2, Akio OKAMOTO1, Kazuho SHIMURA1, Ryoichi TAKAHASHI1, Eishi ASHIHARA1, Tohru INABA1, Naohisa FUJITA1, Chihiro SHIMAZAKI1, Masao NAKAGAWA1, Osam MAZDA2, Jiro IMANISHI2 (1Second Dept. of Med. and 2Microbiology, Kyoto Prefectural Univ. of Med.)
【目的】EBウイルスはバーキットリンパ腫や上咽頭癌などの悪性腫瘍の発症に関与し,これらの腫瘍細胞は全てEBNA1を発現している.EBNA1は,EBウイルスのOriP配列に結合することで転写の活性化や,ウイルスDNAの複製を促進することから,OriPのみを有するプラスミドベクターを用いれば,EBNA1陽性細胞に特異的な発現が得られると考え,検討した.【方法】EBNA1陰性の細胞株K562とEBNA1陽性の細胞株Raji,KEに,OriPの有無が異なるプラスミドでmCD8α遺伝子あるいはHSV-Tk遺伝子を導入し,その発現とGCVによる殺細胞効果を比較した.また遺伝子を導入された細胞をSCIDマウスの皮下に接種し,GCV投与の効果についても検討した.【結果】OriPを有するベクターを用いて遺伝子を導入した場合,EBNA1陽性細胞にのみマーカー遺伝子の強い発現を認め,GCVによるin vitroでの殺細胞効果とSCIDマウスでの腫瘍増大の抑制効果が得られた.腫瘍特異的遺伝子治療への応用が可能と考えられた.