ABSTRACT 2547(P15-6)
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組換えイムノジーン法における一本鎖抗体のDNA結合能の改良:高柳淳1,陳嘉竝1,三樹祐子1,大竹雄一郎1,2,蒲生忍3,清水信義1 (1慶應大・医・分子生物,2眼科,3杏林大・保健・生物)

Improvement of DNA binding ability of Recombinant Immunogene: Atsushi TAKAYANAGI1, Jiabing CHEN1, Yuko MIKI1, Yuichiro OHTAKE1,2, Shinobu GAMOU and Nobuyoshi SHIMIZU1 (Depts. 1Mol. Biol. & 2Ophthalmol., Keio Univ. Sch. Med., 3Dept. Biol., Sch. Health Sci., Kyourin Univ.)

我々は難治癌の遺伝子治療への応用を目指し、抗体を利用した細胞特異的遺伝子導入法「イムノジーン法」を開発した。さらに臨床応用にむけて組換え抗体を利用したイムノジーン法の改良を進めている。すでにヒトEGFレセプターに対する人工一本鎖抗体(scBH)の発現にも成功している。現在、この人工抗体遺伝子のヒト型抗体への変換および組換えイムノジーン法への応用を進めているが、抗体分子とDNAとの結合部分の設計および発現効率の向上が最大の技術的難点である。例えば、scBH抗体をポリリジンで修飾すると抗原結合能が消失した。そのため、DNA結合能を持たせるためにC末に8リジン残基を付加する(scBHL)と、大腸菌では分泌障害が生じた。メタノール資化性酵母Pichia pastrisでは、効率は悪いものの培養液から精製可能であった。得られたscBHL単独では遺伝子導入活性は無く、ポリリジンとの併用で抗体依存的に遺伝子導入がみられた。しかし、導入効率はFab断片を利用したイムノジーンの約1/10であった。次に発現効率を落とさずDNA結合能をあげるため[Lys4His]5を付加した抗体(scBHL4-20)遺伝子を作製した。このscBHL4-20は、培養液中に分泌可能で、1M NaCl中で培養すると見かけ上の分泌量が上昇した。現在scBHL4-20を精製中である。また、連続したC端リジン残基は生分解を受けやすいことが判明したので、アルギニン残基などに変更しあたscBHR4-20遺伝子をP.pastrisに導入中である。