ABSTRACT 2566(P15-8)
 ポスターセッション一覧 トップ 


p53及びp21遺伝子治療におけるテロメラーゼ活性の変動について : 楠本正博, 小川尚洋, 上野光*, 水元一博, 末原伸泰, 新山秀昭, 張 利, 佐藤典宏, 前原直樹, 田中雅夫 (九大・医・一外, 循内*)

The p53 and p21 genes transducton into cancer cells changes the telomerase activity : Masahiro KUSUMOTO, Takahiro OGAWA, Hikaru UENO*, Kazuhiro MIZUMOTO, Nobuhiro SUEHARA, Hideaki NIIYAMA, Li CHANG, Norihiro SATO, Naoki MAEHARA, Masao TANAKA (Dept. of Surg.I and Cardiol.*, Kyushu Univ. Fac. of Med.)

[目的] 膵・胆嚢癌に対するp53, p21遺伝子治療の効果がテロメラーゼ活性に及ぼす影響について検討した。[対象と方法] p53遺伝子に変異をもつヒト膵癌・胆嚢癌培養細胞のMIA PaCa-2・GB-d1に, LacZ, p21, p53組換えアデノウイルスをmoi 100で1時間感染し, 総細胞数, 死細胞率及び単位細胞数あたりのテロメラーゼ活性を経時的に測定した。また細胞周期の解析とウエスタンブロティングを行った。
[結果] GB-d1において, p21遺伝子導入細胞は細胞周期がG1期に停止し, 増殖は感染2日後でコントロールの46%に抑制され, テロメラーゼ活性はコントロールの62%に低下した。p53遺伝子導入細胞はG1期停止に加えアポトーシスを誘導し, 著明な増殖抑制を認め(14%), テロメラーゼ活性は感染2日後に完全に抑制された(2%)。MIA PaCa-2でもほぼ同様の結果となり, p53遺伝子導入細胞のテロメラーゼは, p53発現の低下とともに再び活性化された(感染4日後でコントロールの41%, 7日後で102%)。
[まとめ] テロメラーゼ活性は, p53, p21遺伝子導入の効果である細胞増殖抑制, 細胞周期のG1期停止及びアポトーシスと関連していることが示唆された。