ABSTRACT 2567(P15-8)
Electroporation法を用いた、ヌードマウス移植ヒト前立腺癌への p53 遺伝子導入の効果:三賢訓久1、上村博司1、太田信介2、窪田吉信1、穂坂正彦1(横浜市大・医・泌1、横浜市大・医・口外2)
Electrotransfection of p53 gene to human prostate cancer implanted in nude mouse : Kunihisa MIKATA1, Hiroji UEMURA1, Shinsuke OHTA2, Yoshinobu KUBOTA1, Masahiko HOSAKA1 (1 Dept of Urol. Med., Yokohama City Univ., 2 Dept of Oral Surg. Med., Yokohama City Univ.)
【目的】生物体への遺伝子導入法の一つである electroporation 法では、様々な細胞、組織への高い効率で安全に遺伝子導入が可能であるとされている。今回我々は、遺伝子治療の開発を目的に、electroporation 法を用いてヌードマウス移植ヒト前立腺癌由来 PC3 腫瘍へ apoptosis 誘導・DNA 修復・分化誘導・その他にも多くの機能をもつ p53 遺伝子を導入し、その効果を検討した。
【対象と方法】 PC3細胞をヌードマウスに移植し、約2週後に腫瘍径が5〜10mm になったところで SV40 promotor のついた wild type p53 遺伝子 DNAか mutated p53 遺伝子 DNA を3日おきに3回、electroporation 法にて導入した。その後経時的に腫瘍径を測定し、遺伝子導入の効果を検討した。
【結果】腫瘍径は遺伝子の導入開始から約2週間は wild type 遺伝子を導入した腫瘍は mutated type p53 遺伝子を導入した腫瘍に比して、腫瘍の増殖の明らかな抑制が認められた。しかし、その後はwild type p53 遺伝子を導入した腫瘍も徐々に増大した。この結果は、今後のさらなる検討が必要であるが、この方法による前立腺癌の遺伝子治療の可能性を示すものと考えられた。