ABSTRACT 2573(P15-8)
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シトシンデアミナーゼ(CD)/5−フルオロシトシン(5-FC)による抗腫瘍効果は宿主腫瘍免疫依存性である:菊川政次1,栗山茂樹1,増井一弘1,中谷敏也1,阪本たけみ1,吉川正英1,池中一裕2,福井 博1(1奈良医大・3内,2国立生理研)

Antitumor effect caused by cytosine deaminase/5-fluorocytosine is dependent on the host's tumor immunity:Masaji KIKUKAWA1,Shigeki KURIYAMA1,Kazuhiro MASUI1,Toshiya NAKATANI1,Takemi SAKAMOTO1,Masahide YOSHIKAWA1,Kazuhiro IKENAKA2,Hiroshi FUKUI1(1Third Dept.of Int.Med.,Nara Med.Univ., 2Natl.Inst.Physiol.Sci.)

【目的】CD/5-FCにより誘導される抗腫瘍効果における宿主免疫能の関与について検討した.【方法および成績】1)大腸菌のCD遺伝子を導入したマウス肝癌細胞(CD-HCC)を親株細胞に5%, 10%, 20%, 40%の割合で混合後,同系マウスに皮下接種し3日後より5-FCを投与すると,それぞれ60%, 60%, 80%, 90%のマウスにおいて腫瘍形成は完全に阻止された.一方, CD-HCC細胞を20%あるいは40%の割合で親株に混合しヌードマウスに皮下接種した場合には,5-FC投与を行っても全てのマウスに腫瘍形成を認めた.2) CD-HCC細胞を5%, 10%, 20%, 40%の割合で親株細胞に混合したのち同系マウスに接種し,腫瘍径が5 mmに達した時点より5-FC投与を行うと38%, 50%, 75%, 75%のマウスに腫瘍の完全消失を誘導し得た.親株肝癌細胞のみを接種し5-FC投与を行ったマウスでは,腫瘍内に浸潤細胞をほとんど認めなかったが,CD-HCC細胞を含む腫瘍に5-FC投与を行うと,腫瘍内にマクロファージとCD8陽性リンパ球の著明な浸潤を認めた.【結論】CD/5-FCシステムによる抗腫瘍効果は,宿主の腫瘍免疫能に依存性であることが示唆された.