ABSTRACT 2575(P15-8)
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インターフェロン-γ遺伝子の腫瘍内直接注入による抗腫瘍効果発現機構の解析:中島 伸,野村武彦,渡部好彦,高倉喜信,橋田 充(京大院・薬)

Analysis of antitumor effect mechanism by intratumoral injection with interferon-γ: Shin NAKAJIMA, Takehiko NOMURA, Yoshihiko WATANABE, Yoshinobu TAKAKURA, Mitsuru HASHIDA (Grad. Sch. Pharm. Sci., Kyoto Univ.)

 我々は既に、プラスミドDNAおよびそのcationic liposome複合体の腫瘍内注入後の動態および遺伝子発現について系統的な検討を行ってきた。そこで、今回は微量でも強力な抗腫瘍効果を示すインターフェロン-γ(IFN-γ)の遺伝子を用い、腫瘍内直接注入による癌の遺伝子治療の可能性について検討した。マウス大腸癌細胞株CT-26皮下腫瘍に対し、 IFN-γ発現プラスミドを単独あるいはcationic liposome複合体の形で投与し、遺伝子発現および腫瘍増殖抑制効果を検討した。その結果、両投与群において腫瘍の増殖は有意に阻害されたが、複合体投与群でより優れた効果が認められた。 IFN-γの発現レベルを調べたところ、むしろ単独投与の場合の方が高いことが示されたが、複合体投与の場合にはIFN-γ以外にIFN-βおよびTNF-αの誘導が認められた。以上の結果よりIFN-γ遺伝子導入により抗腫瘍免疫を誘導できることが明らかになったが、複合体を投与した場合には、他のサイトカインが誘導され、これが抗腫瘍効果に寄与している可能性が示唆された。