ABSTRACT 2576(P15-8)
キメラ骨格(PS/PO/PS)をもつBcl-2アンチセンス核酸による白血病細胞の増殖抑制に関する検討:前川 平1、西原政道1,2、石井武文1、中畑龍俊1,3、浅野茂隆2( 1 東大医科研・輸血、 2 病態薬理、3 癌病態)
Bcl-2 antisense oligodeoxynucleotides with mixed backbone structure effectively suppress the proliferation of human leukemic cells in a sequence specific manner : Taira MAEKAWA1, Masamichi NISHIHARA1,2, Takefumi ISHII1, Tatsutoshi NAKAHATA3, Shigetaka ASANO2 (1Dept. Transfusion Med., 2Dept. Hematol./Oncol., 3Dept. Clin. Oncol., Inst. Med. Sci., Univ. Tokyo)
【目的】ホスホロチオエート型(PS)アンチセンス・オリゴヌクレオチド( AS ODN )は生体内で安定である反面、種々の配列非特異的影響が出現する。本研究ではPS型 AS ODNの非特異的作用を減少させる目的でPS型とホスホジエステル(PO)型のキメラ分子を合成し、Bcl-2 AS ODN による白血病細胞の増殖抑制をモデルとして、このキメラ分子がアンチセンス核酸分子として機能しうるかどうか予備的検討を行った。
【方法】KG1およびHL60(Bcl-2高発現), Daudi(Bcl-2低発現)を対象とした。増殖に及ぼす影響、Bcl-2蛋白量、アポトーシス誘導の程度を検討した。標的としたBcl-2の塩基配列は11箇所で、用いたAS ODNはホスホロチオエート(PS)型、および5'端と3'端の2塩基ずつをPS型とし、中央部をホスホジエステル(PO)型としたキメラ型核酸分子を用いた。
【結果と考察】2箇所のAS配列が有効であった。ひとつは開始コドンをはさんだ配列、もうひとつは開始コドンから離れたcoding regionの配列であった。Bcl-2蛋白の発現抑制の程度は、増殖抑制やアポトーシスの誘導とよく相関し、種々のコントロール配列では抑制効果がみられずアンチセンス機序によるものと考えられた。PS/PO/PS型のキメラ分子もアンチセンス核酸分子として有効に機能することが確認された。