ABSTRACT 2577(P15-8)
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アンチセンスガレクチン―1遺伝子の導入によるグリオーマの増殖特性の変化:山岡和子、三島一彦、浅井昭雄都臨床研・生命情報、東大・脳外)

The alterations of anchorage independent growth of rat glioma cells by the expression of antisense galectin-1 cDNA: Kazuko YAMAOKA1, Kazuhiko MISHIMA2, Akio ASAI2(1Dept of Biochemical Cell Res., Tokyo Metrop. Inst of Med. Sci., 2Dept. of Neurosurg., Univ. of Tokyo.)

動物レクチンであるガレクチンー1は、細胞間相互作用の促進のほか細胞増殖促進、細胞周期静止、アポトーシス誘導など様々な作用を持つことが報告されている。これまでにヒトグリオーマ組織および細胞株の両方でガレクチンー1がmRNAレベルで高発現していることを見い出し、さらにガレクチンー1がヒトグリオーマ組織で発現していることを抗ガレクチンー1抗体を用いた免疫組 織染色法で確認し、ガレクチンー1がグリオーマの増殖に何らかの関与をしていることを明らかにした。今回、グリオーマ細胞株を用いてガレクチンー1のアンチセンス遺伝子導入の効果を解析したので報告する。ラットグリオーマ細胞にメタロチオネインプロモーター支配下にガレクチンー1アンチセンスcDNAとジェネテイシン耐性遺伝子を共に導入し、安定発現株のガレクチンー1のmRNAおよび蛋白の発現量、増殖特性を検討した。ガレクチンー1蛋白の低発現株では単層培養系で増殖速度の低下が観察され、いくつかのクローンでは形態変化(接触阻害)が観測された。また亜鉛によるアンチセンス遺伝子の発現増強により、軟寒天培地での増殖能の消失、さらに血清飢餓状態では抗神経線維160抗体で染色される突起の伸展が観察された。これらのことから、ガレクチンー1の発現低下は増殖速度を低下させ、さらに腫瘍細胞としての増殖特性の消失あるいは分化の方向へのシグナルとなっていることが考えられた。