ABSTRACT 2578(P15-8)
肝細胞増殖因子(HGF)によるラット肝硬変の遺伝子治療:植木孝浩1,藤元治朗1,金田安史2,松本邦夫3,中村敏一3,岡本英三1(1兵庫医大・外,2阪大・細胞セ,3阪大・バイオセ)
Gene therapy for rat liver cirrhosis by HGF : Takahiro UEKI1, Jiro FUJIMOTO1, Yasuhumi KANEDA2, Kunio MATSUMOTO3, Toshikazu NAKAMURA3, Eizo OKAMOTO1 (1Dept.Surg.,Hyogo Col.Med., 2,3Osaka Univ.)
【目的】肝硬変は肝癌の発生母地となる非可逆的な疾患で、有効な治療法はない。今回HGFを用いたラット肝硬変モデルへの遺伝子治療を試みた。【方法】ジメチールニトロソアミンによるラット肝硬変モデルに、HVJ-liposome法を用いて骨格筋にHGF遺伝子の反復導入を行った。【結果】遺伝子導入群では、血中HGF濃度がコントロール群の約5倍に上昇し維持された。血中肝へ到達したHGFは、非上皮細胞・肝細胞のc-Met/ HGF receptor を介して、肝線維化の中心的サイトカイン TGF-beta 1を抑制・線維化の進行を抑制するとともに、肝細胞にはmitosisの促進・apoptosisの抑制を促し、肝線維化・肝硬変を改善した。結果、HGF遺伝子導入群では肝硬変が治療され、コントロール群に比して生存率を顕著に改善した。【結論】HGF遺伝子治療は、肝癌発生母地である肝硬変の治療法として有効であり、肝癌発生の予防として期待される。