ABSTRACT 2583(P16-1)
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癌終末期におけるPEGを用いた在宅経腸栄養の有用性と医療経済効果について:高橋直人,鈴木裕,青木照明(慈恵会医大・外)

Strategy of homecare for patients with terminal stage cancers. Focus: PEG, HEN, QOL, COST: Naoto TAKAHASHI, Yutaka SUZUKI, Teruaki AOKI (Dept. of Surgery, Jikei Univ. Sch. Med)

近年患者のQOLや医療経済的観点から急速に在宅緩和医療が注目されている.消化器癌等の終末期の経腸栄養(EN)は不適応とされていたが,症例を厳選すればENは非常に有用と我々は報告してきた.従来の経口又は経鼻チューブからのENは,誤嚥や美観上の問題があったが,内視鏡的胃瘻又は腸瘻造設術(PEG, PEJ)によるENの導入により,癌終末期の在宅経腸栄養 (HEN)管理が容易となった.その方法論および成績といくつかの知見について報告する.[対象および方法]入院による積極的治療の適応外で,家族(患者)に予後を説明し,在宅緩和医療を希望した経口摂取不良の癌末期患者23例を対象とした.経腸栄養ルートはPEG(PEJ) One-step Buttonである.[結果と考察]1998年4月の時点で死亡20例,生存3例,在宅死5例であった.平均在宅日数は101日.救急外来受診回数は平均1.3回で,平均緊急入院回数は1.0回であり,チューブトラブルの緊急入院はなかった.死亡20例の最終入院から死亡までは平均6.0日,EN中止から死亡まで平均5.4日で,死亡直前約1週間まで在宅療法が可能であった.以上より,HENは従来の中心静脈栄養(TPN)による在宅療法より感染リスクが少なく,経口摂取,消化吸収の生理的面でも優れた方法で,さらに日々の医療費を抑えられるため,経済的観点からも有用な方法である.