ABSTRACT 2585(P16-1)
 ポスターセッション一覧 トップ 


B16 メラノーマを移植したC57BL/6 マウスの病態:時田尚志1,日和佐隆樹21千 葉がんセ・研・1動管,2千葉大・医・2生化)

Weakness of B16 melanoma transplanted C57BL/6 mice : Hisashi TOKITA1, Takaki Hiwasa2 (1Div. Animal Res., Chiba Cancer Ctr. Res. Inst. 2Dept. Biochem.,Sch. Med.,Chiba Univ.)

[目的]マウスの移植腫瘍B16 メラノーマは癌研究に多く用いられている。腫瘍が発育し、転移が軽度であっても衰弱し動物は腫瘍死亡する。この担癌動物の病態を知り、死因を明かにすることを目的とした。
[材料と方法]動物はC57BL/6 Slc を用いた。B16 メラノーマは細胞数を100 万個に調整し、皮下に移植した。腫瘍の大きさ、体重、摂水量、摂餌量、赤血球数、白血球数、血糖値、総蛋白量、各種臓器組織重量を測定した。計測値は腫瘍を移植しない対照との間で有意差検定を行った。
[結果]腫瘍は1ヵ月で長径2〜3cmに達した。1〜1.5ヵ月で体重が減少し動物は死亡した。その際、肉眼的な浸潤は軽度で、転移は肺あるいはリンパ節に直径1 mm程度のものが数個みられた。体重、摂餌量および摂水量は移植後3週目から減少した。赤血球数は対照の約1/2 から1/3 に減少、白血球数は増加、血糖値、総蛋白量の変化は軽微であった。臓器重量は脂肪、胸腺、子宮、膵臓・大網が50% 以上減少、腸管、横隔膜、肝臓、腎臓は15% 以上減少していた。胃、脳、膀胱、大腿四頭筋、脾臓の重量は対照と差がなく、心臓と肺の重量は20% 以上増加していた。
[まとめ]担癌動物は著しく赤血球数が減少(貧血)した。これがB16 担癌マウスの衰弱の一因と考えられる。